29.逃げて逃げて逃げまくって


 父ととあることで派手な喧嘩をしたときのこと。僕は大声を張り上げ、いまにも父に殴りかかろうかというような状態でしたが、母と叔母が止めに入ってその場はおさまりました。しかし、僕は自分の部屋に戻って、リストカットをしてしまったのです。部屋に入ってきた母と叔母はとても驚いて、すぐに包帯をしてくれました。

 僕は、暴れたり大声を出したあと、いつもベゲタミンを飲んで横になって寝てしまう。そうすることで、落ち着きを取り戻し、冷静になれるからである。このときもゆっくり休みなさいという母と叔母の言葉に従って、眠りに就きました。いつしか眠りから覚めた僕は、父の書斎に様子を伺いにいきました。すると父と叔母が話している声が聞こえてきました。父は、僕のことを話していました。「逃げて逃げて逃げまくって、あのままだと最後には逃げ場所を失っちゃうよ」という言葉が聞こえました。

 僕は、その言葉が、旨にグサっと突き刺さり、とてもショックでした。これまで、僕は仕事が嫌になったら会社を辞める、友達が嫌になったら連絡を取らなくなる、恋人が嫌になったら別れる、困難な現実にでくわしたら病気に逃げる、病気が理解されないとリストカットやODに逃げる、と逃げて逃げて逃げまくってきました。

 でも、病気がよくなってきたいま、父のその言葉を思い出すと、辛いときや苦しいときにも、「逃げちゃダメだ!」って思えるようになりました。逃げるか、立ち向かうか、道が二つに一つになったとき、ぜひみなさんも「逃げずに立ち向かう」道を選べるようになってください。それを繰り返しているうちに、困難が困難でなくなり、辛いはずのことが辛くなくなってくるはずです。


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