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私はある友人Aからの電話を待っていた。その友人は風呂に入るから電話をあとですぐかけるから待っていてくれというので、私はその電話を待っていたのだ。30分待っても、1時間待ってもいっこうに電話が来ない。私は、いろいろ気を紛らわせて待っている時間をやりすごしていたのだが、だんだんイライラしてきた。その友人Aに何度電話をしても電話に出ない。1時間半も過ぎた頃、さすがにイライラがピークに達してきた。そして、また友人Aに電話をしてみたら、「ごめん、まだ風呂に入っていた」という。私は思わず、怒りが込み上げ、「一体いつまで入ってんだー!!!」と電話口で怒鳴り、電話をガチャンと切ってしまった。最終的にはその友人Aとは仲直りをしたが、後味の悪い思いをしてしまった。その体験を精神分析の先生に話したら、なんとか怒りを大切に感じてみて、包み込みように抱えて、キープしてみる練習ができないものかと言われた。
それから一ヶ月ほどたった頃であろうか、今度は別の友人Bが夜電話が欲しいというので電話をした。すると電話に出ない。30分、1時間経っても電話にいっこうに出る気配はない。さすがにまたイライラしてきた。また気を紛らわせようとするのだが、むしろだんだん怒りが込み上げてくるのがわかる。お腹のへんで怒りがとぐろを巻いているような感じがした。すると1時間半後くらいにこんどは電話がかかってきた。すると、「ごめん、寝ちゃってた」という。私はこないだとほとんどまったく同じシチュエーションだと思った。
しかし、今度は違っていた。その友人Bは私が電話に出たときの「はいもしもし」の第一声で私が怒っているのがわかったらしく、「ねえ、怒ってるでしょう?」と聞いてきた。そんなとき、私はいつもの癖で「ううん、別に」と答えてしまい、その場を取り繕ってしまい、怒りをとうとう溜め込んでしまい、いつか爆発させてしまうことが圧倒的に多いのだ。でも、今回は怒りをキープするという精神分析の先生の言葉を思い出した。私は相手と自分を信じ、勇気を振り絞って、「こういうときって怒れないんだよねぇ」と答えてみた。すると「やっぱり怒ってたんだね、でもそれを聞いて安心したよ。だって、電話に出た時怒っている気がしてたのに、ううん怒ってないよっていうから、本当かなって思っちゃってたんだ」って言ってくれた。僕は勇気を出してそのセリフを言った時、そして、相手の反応が決して怖がるものではなく、かえって安心できるものであったことで、お腹の怒りや胸のつかえがすうっと消えていき、とてもすがすがしい気持ちになることが出来た。こういう間接的な怒りの伝え方っていうのもあるんだということが最大の驚きであり、発見であった。
その話しをまた精神分析の先生にしたら、それはものすごく大きな出来事でしたね、と言ってくれた。決して怒りを感情的にやみくもに吐き出すことだけが、怒りの気持ちいい吐き出し方ではないんだ、とあらためて実感した。
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