19.こりゃやばいやばい
|
入院していたとき、ベッドで寝ている以外にすることといえば、新聞や雑誌を読んだり、タバコを吸ったり、缶ジュースや缶コーヒーを飲んだり、将棋やトランプをしたり、ときに患者同士で雑談をしたり。それが精神科病棟の日常だった。ある日の昼下がり、夕方になりかけていた頃だったか、患者のたまり場で、ある看護婦がテレビをつけた。なにげないテレビドラマが流れてしばらく穏やかな時間が流れていった。患者やほかの看護婦たちもぼーっとしてテレビを見ているような見ていないような様子だ。すると、なんとなくテレビから無気味な音楽が流れ始めた。僕はしばらくテレビに目を向けていた。すると、いきなり「ガガーン!」とピアノの低い音がして、場面が暗くなり、「○年○組の○○ちゃんが首を吊ってる!」と子どもの叫ぶ声。ドラマはどうやら「学校の怪談シリーズ」だったようだ。あわてて、僕は看護婦さんと目を合わせた。看護婦さんは「こりゃやばいやばい」と慌てふためいて、思わず僕は看護婦さんに「NHK!NHK!」と叫んでいた。あわてて看護婦さんがチャンネルをNHKに変えたら、「おばあちゃんの健康法」かなんかをやっていた。看護婦さんは、ホッとした様子で、「最近は物騒な番組が多くておちおちテレビも見てられないわ、NHKがいちばん無難だ」と言っていた。精神科ではあうんの呼吸が命を救う(^^; |