虚無感


 虚無感にさいなまれているとき、いきいきとした感情はどこかに消え失せてしまって、ぽっかりとこころに穴があいてしまったように、まるで呼吸する置き物のようにただ意味もなくそこに存在するように感じるものです。あるいは、四方八方五里霧中の乱気流の中で、能面のようにただ機械的に操縦桿を握らされているような、そんな感覚に襲われます。そんな状態のとき、充実した人生ってどんなことをいうのか想像もつかなくなります。この世に人智を超えた愛など存在するはずがないと無神論的に、ニヒリスティックになります。また、どんなに愛情を注がれても、それに応えるだけの感情が枯れてしまっているので、どう反応していいのかわからなくなってしまっています。人に感謝したり、喜んだり、楽しんだり、優しくしたりすることが偽善的にみえてしまったりもします。なぜなら、自然な感情や情緒、情動がカラカラにひからびてしまっているからです。空理空論、強迫観念で頭でっかちなまま、空回りしているのです。

 そんなときは、本を読んだり、インターネットをしたりするのをしばらくやめて、山に海に飛び出して、また動物などと触れ合って、我を忘れて子供に返り、泥まみれになって遊んでみましょう。難しくない子供向けの映画などを見て感動するのもいい方法です。最初はそれすらくだらないと思うかもしれません。でも、そのうちに、人間という野生の本能がよみがえってきて、少しずつ感情の泉が潤ってくるのに気がつくはずです。

 私の場合は、虚無感で自分を見失いそうになったときは、よく『男はつらいよ』シリーズの映画のビデオを借りてきて観ては、涙を流し、自分を取り戻していました。それをあなたにおすすめはしませんが、きっとあなたに合った方法が見つかるはずです。


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