境界性人格障害の治療には、精神分析と並んで認知行動療法も効果があると言われています。
また、うつ病にも認知行動療法が効果があるので、こちらではその概要をご説明します。
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認知行動療法とは
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行動的技法と認知的技法を効果的に組み合わせて治療を行なう心理療法を総称して、認知行動療法(Cognitive
Behavior Therapy、略してCBT)と呼んでいます。1980年代まで、心理療法の主流はフロイトによって創始された精神分析療法でしたが、80年代以降になって、心理学、精神医学における行動主義の発展にともない、リネハンなどの行動療法家、エリスなどの認知療法家が現れ、急速に普及し、一般的にも知られるようになりました。 一方、現在最も一般的に普及した認知療法は、ベック(A.T. Beck)によって始められた短期精神療法の一種で、認知のゆがみに焦点を当てることによってうつ病やパニック障害などの治療を行なうものが有名です。認知を通した人間の主観的体験が人間の情緒体験と密接な関係を有するという理解に基づいています。認知のゆがみは、自動思考と仮説/スキーマという二つのレベルに表れます。自動思考とは、ある状況下で瞬間的に現れる考えやイメージのことです。仮説/スキーマとは、こころのより深層に存在している自己・世界・将来に対する仮定的確信、心的態度、心的規則です。治療に際しては、患者と治療者が一緒に患者の認知のあり方を検証していく協同経験主義がとくに重視されます。その中でまず問題を明確化し、自動思考を同定、検討し、仮説/スキーマを同定、検討します。治療過程では、不適応的思考記録や宿題を通して認知のゆがみを検討します。よくみられる認知のゆがみには、恣意的推論、二分割思考、選択的抽出、拡大視/縮小視、極端な一般化、情緒的理由づけ、自己関連づけなどがあります。※なお最先端の研究では、二分割思考(または極端な二分法的思考、たとえば愛と憎しみ、善と悪など)の統合を目指す「弁証法的認知行動療法」(Dialectical
Behavior Therapy; DBT)というアプローチがM.M.リネハンによって提唱されており、成果を挙げています。なお、最近日本では、認知療法を応用しインターネット上で日記形式で個人のストレスに対する抵抗力を高める「メンタフダイアリー」と呼ばれるオンラインカウンセリングも行なわれ始めました。 |
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境界性人格障害と認知行動療法
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| 最近になって認知行動療法が精神分析療法と同様に境界性人格障害に有効であることがわかってきました。精神分析では決定論の立場から幼児期の無意識に症状の原因を仮定してそれを探索、洞察するという方法が取られますが、中にはこの方法がとても苦痛な人もいます。認知行動療法は、認知行動理論の立場から無意識の存在やフロイトがいうような欲動の抑圧の構造を認めないか、あまり重要視しません。あくまでも、いまここで目に見える思考や行動の変容をめざすものなので過去の不快な記憶などをたどるようなことはありません。 |
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境界性人格障害に特徴的であると仮定されたスキーマ
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| 見捨てられ/喪失 | 「私はずっと一人ぼっちだろう。誰も私のためにはそばにいてくれないだろう。」 |
| 愛されないこと | 「私のことを本当によく知れば、誰も私を愛したり、私と親しくなりたいとは思わないだろう。」 |
| 依存 | 「私は自分の力でやっていくことができない。私には誰か頼りになる人が必要だ。」 |
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従属/個性の欠如 |
「私は自分の望みを他者の要求に従属させなければならない。そうしなければ、私は見捨てられたり、攻撃されるだろう。」 |
| 不信 | 「人は私を傷つけ、攻撃し、利用するだろう。私は自分を守らねばならない。」 |
| 不適切な自己抑制 | 「私には自分を抑制したり、律することは不可能だ。」 |
| 感情の抑制を喪失することへの恐怖 | 「私は自分の感情を制御しなければならない。さもなければ、何かひどいことが起こってしまうだろう。」 |
| 罪/罰 | 「私は悪い人間だ。罰せられて当然だ。」 |
| 情緒的剥奪 | 「私の要求に応え、私を守り、私の面倒を見てくれる人など誰もいない。」 |