実際の事例 (その1)

20代の境界性人格障害の娘を持つ母親です 。

現在娘は、リストカットを繰り返し、ちょっとしたことで暴れだし、部屋の中の置物を割ってそれで首を切ろうとまでします。暴れなければいけないほど、リストカットをしなければおさまらないほど、娘の心は傷ついているのだろうと、その深い悲しみを思うと、たまらない気持ちになります。ただ、私たちにはどうしようもなく、通院していた病院がクリニックだったこともあり、入院もままならず、とにかく入院施設のある病院を捜して一日も早く入院させなければと切羽詰った状況で某大学病院の精神科へ出かけて行きました。

結果を申し上げますと、「最悪」でした。診察の前は、他の患者さんもいる前での問診でした。「リストカットはいつ頃からですか?」とか「原因についてなにか考えられる事は?」など、プライベートなこともいろいろと聞かれました。周りの患者さんたちは当然のように耳を傾けて聞いています。そして「境界性」という言葉を聞くやいなや、看護婦さんが中に入っていき、なにやら先生と相談してから、「境界はうちの専門ではないから専門の病院に行かれて下さい。」と言われました。「専門の病院はどこですか?」と聞いてもそれについては、「わからない。」というそっけない答えでした。とにかく、避けたいという態度がひしひしと伝わってくる態度でした。

その後、なんとか先生にとりついで頂き、入院のことを相談したら、「入院はちょっとねえ。せっかく治療効果のあらわれているほかの分裂病の人の治療がうまくいかなくなるんですよねえ。悪影響があってねえ。」と言われた時に「先生、では、この状態で入院しないまま家で過ごさせてもいいのでしょうか?ますます悪くなってしまう事はないのでしょうか?」と尋ねると、先生は平然と、「それはそうでしょうね。ほっとくと悪くなるでしょうねえ。」と・・・・。それって一体どういうことなのでしょうか??私は自分の耳を疑いたくなりました。

「だったら、どうしたらいいんでしょうか?」と聞きましたが、先生はため息をついて「どこか入院させてくれるところを捜すしかないでしょうねえ。」と答えただけでした。その病院では、「以前は境界も扱っていたが、その先生もやめて、今は扱っていない。」ということでした。仕方なく、「出来ればその先生がいらっしゃる他の病院を教えて頂いて紹介状を書いてもらいたいのですが?」とお願いしましたが、「都会の病院に頼んだら?遠くても書いてくれる先生もいますよ。」と自傷行為がとまらず切羽詰っている状況にもかかわらず、完全に見放されてしまいました。とにかく別の病院に行ってくれと、でも紹介状はかけないと、本当に冷たい態度でした。大学病院の諸事情もあると思いますが、決して誠意ある対応ではありませんでした。

悪くなることを分かっていて、でもなにもしてくれず、見放す。境界性人格障害を嫌がる医師もいるということは知ってはいましたが、こんな医者がいることを私ははじめて知り、実際にこんなひどい状況なのかと改めて思い知らされました。

【以上の内容はすべて事実にもとづいております。なお、病院や個人の特定できるような箇所はプライバシーを保護するために一部修正してあります】

※なお、すべての精神科医が上記のような対応をするわけではありませんので、不必要な不安や恐怖心を抱く必要はありません。実際上記の方は、その後、良心的な信頼できる医師と出会うことができたそうです。


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